人の寿命は伸び、人生100年時代を迎えた。
情報技術の進化により、毎日は妙に忙しい。
目先の利益に追われ、次から次へと仕事をさばくだけ。
「これが私の望んだ人生か」という疑問がわいたら、
ぜひ、この本を読んでほしいーー
(「本書のメッセージ」より)
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テクノロジーの進歩のおかげで何でもできる(と錯覚する)ようになると、何でもやりたくなってしまう。筋トレ・英語・資格勉強といった自己研鑽から、動画視聴サービス・音楽サブスク・SNSといった娯楽まで、「誰かがやっているのに自分がやっていないこと」があると損をしている気がしてしまう。
しかし1日24時間であることはご先祖様の代から全く変わっていないのだから、全てをできるわけはなく、それでも何とかしてやりたいという気持ちから、時短・タイパに固執するようになる、というのが現代病の一つです。
仕事や勉強などもすぐに成果出ないと「コスパが悪い」とか適当なことを言って中途半端な状態でやめてしまうことも少なくないです。短期的に成果を出すことを求めて小さなことばかりに気を取られ続けていると、結局1日があっという間に過ぎ、1ヶ月が過ぎ、気づけばまた1年経っている。
一方で、人生は思ったよりも長いものでもあります。僕はこの記事を書いている時点ではアラサーですが、こんなに長く生きるとは思ってませんでしたし、今から倍以上生きる可能性があると思うと果てしないとも感じます。
それなのに日々何かに追われて、あっという間に時間が経ち、このままあっという間におじいちゃんになって最期を迎えることを想像すると、流石にゾッとします。「このまま日々を刹那的に生きるだけで良いのか?」と。
そんなことを考えているときに出会った本が、今回紹介する『THE LONG GAME』です。
本書の構成
この本は、3つのパートに分かれています。
- Part 1「余白」・・・第1章〜第2章
- Part 2「集中」・・・第3章〜第7章
- Part 3「信念」・・・第8章〜第10章
Part 1でまず、時間的にだけでなく、精神的にも長期的の目標を探し、実行するための「余白」を作ります。
Part 2で、長期的にやりたいことを見つけ、最初の一歩として何から始めるか・どう始めるかを学び、やるべきことに「集中」します。
Part 3では、壁にぶつかったり挫折したりしたとき(特に挑戦の初期の段階で多い)、どうやって乗り越えるか、失敗を無駄にしないための「信念」を身につけます。
『THE LONG GAME』のおすすめポイント
この本のオススメしたいポイントは、次の5つです。
- 目先の忙しさを解消できる
- “自分にとって”価値のある「長期的な目標」の見つけ方が分かる
- 目標に向かってまず何から始めるべきかが分かる
- 上手くいってないときの対処法が分かる
- 章ごとの「まとめ」が、まとまりすぎ!
順番に解説していきます。
ポイント①:目先の忙しさを解消できる
毎日忙しくて長期的なこと考える暇なんてないよ。。。
「忙しい自分」を肯定できる理由が現代社会にはいくらでもあります。夜遅くまで残業すれば「やれることは全部やった」という理由で成果が上がらない言い訳にもなります。忙しくしている間は、「もっと重要なことを考えなくていい。だって忙しいんだもの」という言い訳もできます。
しかし、残業している人は全然偉くない。むしろ「自分の時間を管理できず、与えられた時間内で成果が上げられない残念な人」だと思うところから始めます。
そして、例え魅力的なお誘いであっても「10点満点中9点以下」のものには全て「No」と答えるための考え方と実際に断るための手順が載っています。
ポイント②:「長期的な目標」の見つけ方
タイトルからは単に習慣の力は長期的に効いてくること、どう習慣化するかの本だと思いました。しかし長期的にやるべきことを「見つける」方法についても言及がある点で、他の習慣化の本とは一線を画しています。
「好奇心ドリブン」「20%ルール」「波で考える」といったフレームワークを使って、“自分にとって”価値のある、長期的な目標を見つけることができます。
ポイント③:まず何から始めるべきか
目標はある。だけど中々始められない。こうやって何かを先延ばしにしている人は結構いると思います。(僕もそうです)
最初の一歩をどうやって踏み出すか、いくつかのテクニックが紹介されています。この本をよめが、やるべきことが決まっているのに行動を起こしていないという人はいなくなると思います。
ポイント④:上手くいかないときの対処法
3年とか5年を「長期」だと思うとライバルが大量にいることが分かります。(受験戦争や社会人を数年やった感覚とも一致)
しかし7年かそれ以上 、あるいは本書で勧められている「10年スパン」で勝負するとライバルの数が一気に減ります。そもそもそんなこと考えている人はほとんどいないからです。
他にもさまざまな考え方・テクニックを駆使して、特に新しい挑戦の初期で訪れる「これ続ける意味ある?」という自問からの挫折を避けられます。
ポイント⑤:章ごとの「まとめ」
各章の終わりにある「まとめ」が本当によくまとまっています!ここだけ読んでも何が書いてあるか、次に何をすればいいかちゃんと分かるレベルです!
本文を読むのは理解をさらに深めたり、関連するストーリーを蓄積したりするためでOK(ただし、まえがきは読んでおいた方が良いです。全体像がわかるので)
僕は初めから最後まで読んだので、定期的に「まとめ」だけ読もうかと思います。
『THE LONG GAME』をオススメする人/しない人
僕がこの本をオススメするのは、次に当てはまる人です。
- 人生の長期的な目標が見つかってない人
- 目標はあるが行動する時間がない人
- 目標があり行動もしてるが成果が出ず挫折しそうな人
上記のどれか一つでも自分に当てはまっていると思った人は、すぐに本屋さんへダッシュしてください!この本を読んで損することはまずないと思います!
- 特になし
この本をオススメできない人は基本的にはいません。
強いて言うなら、すでに長期戦略を立てて実行中の人ですが、この本には上手くいっているときに足元をすくわれない方法、逆に上手くいっていない時にすべきことも書かれているので、実行中の人も自分に関係するところだけ読む価値は十分あります。
『THE LONG GAME』を読んで僕が思ったこと
4章でイーロン・マスク(資産をテスラとスペースXに全額ベットしてキャッシュが底をつきかけたところから世界一の大富豪になった)の成功の裏には、同じことをして失敗した無数の人がいたことに言及していて、信頼できると感じました。そして「20%ルール」を実行し始めました。
長期戦略を取っているライバルが少ないことに言及されてますが、「この本が売れたらライバルは増えるのな?」と思いました。7年や10年がライバルだらけになったら、20年、30年スパンで考えないとライバルは減らないのではないか?と。
しかし頭で理解はしていても、人間は短期の利益ばかりを追求してしまうので、結局7年くらいの長期戦略でもワークするのかも。いずれにしてもド短期のことばかり考えるのはやめる、一旦7〜10年スパンの計画を立て、それでも上手く行かなそうなら本書の指針にしたがって修正する、という方向にひとまず落ち着きました。
長期的に考える必要性について説かれている本はたくさんあります。習慣化と資産形成の観点で、以下2冊は『THE LONG GAME』と親和性があると感じました。
『Atomic Habits -複利で伸びる1つの習慣-』ジェームズ・クリアー
https://amzn.to/40bNUqY
『サイコロジー・オブ・マネー』モーガン・ハウセル
https://amzn.to/3DmVTYf
まとめ
- 長期戦略を立てるためには時間的にも精神的にも「余白」が必要。忙しさを無意識レベルで勲章とせず、Noを言うための指針を持つ
- 長期的にやる価値のあるものを見つけるために、「20%ルール」「波で考える」「集中する-探す」フレームワークを使う
- 10年以上の長期スパンで考え、失敗を勉強と捉える。小さくかけて失敗し、学んだことを次の挑戦に活かす。また、既に持っているものを長期的な目標のために活かす
毎日忙しくしている方、自分が長期的に何をしたいのか分からなくなってる方、やりたいことがあるのに時間がないと感じていたり、上手くいってなかったりする方は、まえがきだけでも読んでみてください。
『THE LONG GAME』ドリー・クラーク
https://amzn.to/3wA1A18
(この記事を書いた時点では、まえがきはKindleで試し読みできます。また、僕は本屋で紙の本を買いましたが、Kindleの方が数百円安そうです)
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この記事を最後まで読んでくださり、ありがとうございました!